表題の通り。
その子は結構仲良くしていたお友達で、2人でご飯食べたり遊んだりするくらいには仲が良かった。
ただ、お互い恋愛感情も下心も一切なくて一緒の部屋で隣で寝てても全くそういう関係にならずに即就寝するようなそんな関係だった。
彼女と初めて出会ったのは高校生の頃。
当時彼女はクラスのマドンナ的な存在で高音の花子さんだった。
明るくて誰にでも優しい彼女はモテていた。
一方りゅーねさんは高校デビューならぬ高校隠キャデビューしてしまっていた。
遠足で汐留にいった時、友達が1人もいなかったので行き帰りのバスでは隣に座るペアが見つからず1人で座ったし、みんなが楽しくレストランとかで飯をくっている中こそこそ逃げるように行動をして1人でマクドナルドでチキンクリスプを食うくらいには陰キャを極めていたし邪気眼が疼いていた。
そんなどうしようもないりゅーねくんにも優しく話しかけてくれた彼女は本当に優しかったと思う。ただからかわれていただけかもしれなかったけど、女の子に構ってもらえるのはなんやかんやで悪い気はしなかった。
おかげで俺も徐々にクラスに打ち解けることができて、後期にはクラスのみんなと楽しくお話できるほどになった。
本当に対照的な2人だったと思う。陰と陽。
りゅーねさんは彼女がまったくできないどころか女の子にミジンコ程度にしか認識しかされてなかった中、彼女はいろんな人と付き合ったり別れたり高校生らしい青春という感じの日常を送っていた。
高校を卒業して大学生になって、俺は東京の大学に通うために上京した。
彼女も東京に出ていたが学校も違うし接点はほとんどなくなっていた。
このまま一生疎遠になるのかなーと思ったらそんなことはなくて、同窓会的なやつで年一回程度顔を合わせていた。
大学生になったりゅーねさんは相変わらず隠キャだったんだけれども、高校生の頃よりは中二病が改善して丸くなっていた。
「りゅーねこんなに喋るタイプだったっけ?マジウケるー」
なんて田舎のギャルみたいなことを言われてたりする間になんやかんやですっかり意気投合して気がついたら結構仲良くなっていた。
そうして仲良くなった後は一緒にご飯を食べにいったりして語り合ったり、部屋に遊びに行ったことなんかもあった。
ストーカーっぽい男がついてくるとかで電話をかけてきたことなんかもあった。
そんなギャルゲだったらもうこれフラグたってるんじゃないかって的なシチュエーションはなんどもあったが、2人が男女の仲になるということはなかった。
大学を卒業した後も彼女は相変わらず男性と付き合ったり別れたりしていたが、俺は大学の頃に初めてできた彼女に振られたあとは全く彼女ができない人生をおくっていた。
そんな関係を続けていくうちにお互いすっかり年を重ねてしまった。
ある時彼女とご飯食べにいくことになり、しゃぶしゃぶ屋さんでしゃぶしゃぶを食べながら彼女が結婚を焦ってるという話を延々きかされた。
その時俺は本気で考えた。
この子と一緒にいると楽しいし、もし結婚したら俺は幸せになれるんじゃないかと。
もし勇気を振り絞って告白するなら今なんじゃないかと。
今考えるとあれはシュタインズゲートに到達する最後のチャンスだったのかもしれない。
ただ俺はそういう気持ちを彼女に伝えることはしないという世界線を選んだ。
冗談混じりで、「もしお互い30越えて結婚相手がいなかったら結婚すっか。」なんて言ったことがあるけれど、俺としてはあながち冗談というわけでもなかった。
そうしてついこの前、共通の友人の結婚記念パーティに呼ばれた時にさらっと
「あ、私籍入れたんだー!結婚したの!!」
とほんとうに何事もないようにさらっと彼女が言った。
彼女のことを好きなわけじゃないし、結婚したいという気持ちはなかったけど、なんというか置いていかれた感みたいなものをすごく感じたし娘を嫁に出すお父さんのような気持ちになった。
「え、よかったじゃん!おめでとう!!!」
何事もなかったように、極めて自然な笑顔で俺はそう伝えた(はず)。
おめでとうという気持ちには嘘はない。幸せになって欲しいとも思う。
だけどなんかこうもやっとした気持ちが胸の奥底にあった。
そんなこんなでもやもやした気持ちのままパーティはスタートした。
人が多いところは得意じゃないし面倒に感じていた結婚記念パーティは、同じ茨城県出身の男どもと酒を飲みまくって結構楽しかった。
お酒は結構飲んだと言っても一応祝いの席だしということでセーブしていたのだが、最後解散ってなった時、もう今酔っ払っても誰にも迷惑をかけないし後は帰るだけだからいいやと思ってビールを煽るように何度も一気飲みした。なんかヤケ酒な感じだった。
解散した後、俺はなんかしんどいしすぐにでも帰りたい気持ちだった。
けど茨城チームは東京にきたということでめちゃめちゃ浮かれていた。
「風の噂で聞いたんだけど、有楽町っている東京有数のナンパスポットがあるらしいからいこうぜ」
なんてことを言ってたけど俺は東京住んでたけどそんなこと聞いたこともなかったからなんか元気だなーとか思いながら他人事のように笑ってた。
五反田で風俗いこうとかいう話になったけど、俺は風俗にいったことがないし行くのも気が進まなかったので帰ろうとしていると男の一人が提案した
「相席屋行こう!!」
相席屋というのは女性は無料で男だけが金を払うという悪魔のようなシステムで、俺は人生の中であんな場所にいくことだけは絶対にないとおもっていた。
「もちろんりゅーねもいくよな?いこうぜ?」
と酔っ払いに誘われてどうしようかめちゃめちゃ悩んだが、また俺の悪い癖の話のネタになりそうなことは気が進まなくてもするという特性が発動して気がついたら相席屋に向かっていた。
既婚者2人チームと、独身3人チーム。
俺はもちろん独身3人チームだ。
相席屋に入ると料金の説明をされた。
時間制で男性は1時間2000円くらい?女性は無料
飲み放題食べ放題のバイキング形式だった。
俺が想像していたのは女の子が食べた分を男が割り勘するってシステムだったので、こっちのほうが健全でいいなと思った。
相席屋に入った時にはもうアルコールでフラフラだったので、なんか遊び慣れた同じチームの人がワニの歯を押したら口がしまるやつとかやりだしてめちゃめちゃ盛り上げてくれたが俺はほとんど発言せずに話に合わせて笑うだけといういつものパターンに入った。
最初の席の女の子は相手も相席屋が初めてということで、話しやすくてとっても楽しかった。
次に座った席の女の子はめちゃめちゃ遊び慣れてる感じで、話を合わせるのも疲れるししんどくなっったのでアイコンタクトをしてささっと離脱した。
終わったに同じチームだった茨城県の人に後携帯貸してっていわれて、
最初の席で一緒だった女の子の1人に勝手にオラついたラインを送られた。
「まだ相席屋いんの?」
「俺らこれからどうするって話してんだけど?(ビールの乾杯の絵文字)」
しかも送った後
「俺たちこれから茨城で飲むから帰るわ」
と言い出した。いやいやラインどうすんの。。
1人で女の子をどうこうできる自信はなかったし、ワニの歯をおして口が閉じるゲームでビール一気飲みされられたりしてふらふらだったので
「すみませんさっきのメッセージは友達が送りました(土下座の絵文字)」
「また今度お話しましょう。」
みたいなメールを送ってすぐに家に帰って寝た。
起きるとラインの返信があってなんやかんやあって食事に行くことになったので人生なにがあるかわからない。
とりあえずこの話は以上です。
ご結婚おめでとうございます。幸せになってくださいね。